ダニエル・オズが収めた大きな成功
観客が旗を振り、チャントを歌い、お気に入りのライダーに絶え間なく声援を送る。彼らが、今後引き継がれるであろう偉大なサイクリスト達の勇姿を目に刻み、歴史の目撃者となるのだ。
サイクリストにとって本当に特別な週末となったであろう。
イタリアのVeneto地方で開催された初の大会「UCIグラベル世界選手権」
コースレイアウトは、イタリアの情緒あふれる田舎道を駆け抜ける190キロで構成。VicenzaとCittadellaの間には、勾配やグラベルセクションが存在し、Peter Sagan, Mathieu Van der Poel, Zdenek StybarやGreg Van Avermaet が栄冠を掴もうと駆け抜ける。
ロードサイクリングの精鋭達だけでなく、あらゆるカテゴリーの猛者達が集結し、初代王者の栄光を求めて熾烈な戦いが幕を開けた。そんな豪華なメンツが初回にふさわしい熱戦を生み出し、最後まで気の抜けない圧倒的なインテンシティの中でレースは進んでいく。
最終的に表彰台に上がれたのは、Gianni Vermeersch, スポーツフルアンバサダーである Daniel Oss , 超人Mathieu Van der Poelの3人。正に北のクラシックレースのような雰囲気さえ感じられた。
情熱、気概、勇敢さを目の当たりにし、レースは刻々と進んでいく。ダニエルは2位という素晴らしい順位でフィニッシュし、作戦や戦術を抜きにして堂々と戦いに臨んだからこそ生まれた結果だ。彼自身が大会出場を望み、結果が出せると確信を持って挑んだ世界選手権。持てるすべてを出し尽くし、ただひらすら踏み続けた。
過去のクラシックレースでの経験が彼に自信をもたらし、優位な状態でレースを進め順調にペースを刻んでいく。
しかしながら、順調にレースを進めたのは彼だけでなかった。優勝を成し遂げたベルギー人のVermeerschも同じだったのだ。最後の10kmで訪れた勾配エリアで仕掛け、ダニエルの優勝の望みは遠のいていった。しかし、彼は2位という結果に満足している。「自分のライド哲学」が大きな実りをもたらしたのだから。
「常に先行してレースを進められたから、他の選手達にペースを乱されずにゴールまで辿り着くことができたんだ。でも2人だけでの逃げ切りはキャリアでも最も長い距離だった。4, 5人で抜け出せれたらレースはもっとオープンで面白い展開になっただろうね。最後は力が尽きてしまい、幾度となく仕掛けたアタックの影響で脚が限界にきていたんだ。でも後悔はないよ。凄く良い経験ができた。ファンの声援がずっと聞こえていて、素晴らしい初開催となったね。レースを通してたくさんの笑顔と素晴らしいファンが大会を盛り上げてくれたから。」
レース後は2位という結果を真摯に受けとめ、興奮した様子で満足感を語ってくれた。
今シーズンはツール・ド・フランスで負った怪我の影響で決して良い状態ではなかったが、最高の形でカムバックを果たし、彼の力を見せつけてくれた。自分に真っすぐで、心からサイクリングを楽しんでいるかのような彼の言動は模範となるものだろう。
2位とは素晴らしい結果。おめでとうダニエル!
そして初開催となった今回のグラベル世界選手権に出場したすべての選手達にも改めて敬意を表したい。